ぎゅっ

とギンは私を放そうとしない。

ぬいぐるみじゃあるまいし。


「だから、お前は俺のもんだ。離さねえ」


「ちょ、ギン・・」


真剣なトーンの声だ。


「俺がお前を護ってやるから。だからこれからも一緒にいてくれ」


「え・・と・・カサネさんに怒られちゃうし」


「あいつは関係ない。勝手にくっついてくるだけで」


いや、私もあなたに勝手にくっつかれてるんですけど。



「お前は、どうやったら俺を好きになってくれるってんだ?」



ドキン



至近距離だってことを忘れていた。

とてつもなく顔と顔が近い。

初めて聞くギンの切羽詰まった小さな声に心臓が跳ねた。

こんな切ない顔出来るんだ。


「なあ?ヒオリ・・こっち見て」


「え・・ちょ・・ま・・」


どんどん近づいてくるギンの顔を手で抑え込もうとしたが、その手はいとも簡単に取られてしまった。