ギンはおもむろに私を抱きしめる。


「ちょっ!やめてよ!セクハラ!!」


「馬鹿だな。泣きたいなら泣けよ。こうしててやるから」


歯の浮く様なセリフをよく言えるな。冗談のつもりなのかな?


「はああ!?本当にもうどうでもいい昔話なんだってば」


「自分で最近の話っぽく言ってたじゃねえか」


「うるさいなぁ・・」


「強がるなって」


ぎゅううっ

と思いっきり抱きしめられる。

こんなに抱きしめられたのは、人生で初めてかも知れない。

元カレにだってされてない。

私は恥ずかしくなって思わず言った。


「ギンなんてこの世界で女が不足してるから私に固執してるだけの癖に。
だからこうやって近づいてくるんでしょ!?」


「は?ちげーよ。ばっかだな」


「もうバカバカ言わないで!じゃあなんでよ」


頬を膨らませながら私はギンを見上げた。