そっと、センリは私の乱れた髪に手を伸ばした。


ドキッ


いちいち心臓が跳ねる。

というかセンリの色気が半端ない。

今にも心臓が破裂しそう。そして止まりそう。



「さっきはごめん」


「あ、はい」


「リッカは俺の10年前の彼女だったんだけど」


「うん」


「お役目で王の城へ行った。ま、そもそも。付き合ったばかりでそんなに深い関係じゃなかったんだ。若かったし、別に結婚したいとかそういうのも考えてなかった」


「そうなんだ」


嘘だ。未練があるように見える。

その憂いに満ちた目は何なんだ。



「でも、辛いな。我慢して、国の事理解しようとして、送り出したのに・・帰ってくるなんて」


「センリ・・」



笑い口調だったが、目は遠くを見つめている。


やっぱり辛い別れだったんだ。


「嬉しい気持ちが無いわけじゃない。でも・・ちょっと複雑なんだ」


「うん・・。わたしこそごめん。何も知らないのにしゃしゃり出て」


「いや・・ヒオリなりに気を使ってくれたんだろ?」


「ううん。センリの気持ち考えてなかった。ごめんなさい」


私は目を見て謝った。

そしてお辞儀をした。

そして



見つめ合った。