けれど 彼は───



………………



あれ?無反応?



彼は私に顔を見られないように そっぽを向いている。



いくら見ようとしても そっぽを向くので、つい意地になってとうとう彼の顔を両手で挟んだ。



「もうっ こっち見てよ!」



けれど、それは…



まるで 夕日でも見たかのようだった。



「楠木くん…」



もしかして、ずっと照れてたの?



「ずっと名前で呼ばれるの、夢だったんだけど…実際に呼ばれると、想像以上で……」



まるで自分自身にも言い訳をするように 彼は口をもごもごさせていた。