「楠木くん、おはよう。」



彼の嬉しそうな顔が目に映る。



本当、どれだけ私のこと好きなのよって感じ。



「花園っちさ、それ やめない?」



いつの間にか 恋人繋ぎされている手。



「名前で呼んでよ。」



「呼んでるじゃん。『楠木』っていう名前で。」



「そうじゃなくて、ほら 『那音』って呼んでよ。」



あ、拗ねた。

もう、しょうがないな。



ただ、みんなの前で呼ぶのは恥ずかしいから、



「那音」



彼の肩に手を置いて耳元で言った。



彼だけに聞こえるように。