「紅葉!」

聞き覚えのある声に、私はパチリと目を覚ます。

「ときわ?」

「もう京都へ着いたよ。みんな降りちゃってるよ、もう〜〜」

辺りをキョロキョロすると、同じ社内の人はほとんどいなく、光清がせっせと私の荷物を降ろしている。

「ほらほら、行こう。紅葉もときわも。」

光清の誘導で、なんとか新幹線を降りる私達。

「次はバスだよ。」

「また乗り物か。少しは京都の空気も吸いたいよ。」

光清は長い両腕を、空に向かって伸ばす。


「あ〜あ、暇だよね。誰かさんは新幹線に乗っている中、ずっと寝てるし。」

光清とときわが、じーっとこっちを見ている。

「ごめん。私もなんでこんなに眠いのか、分からなくて。」

「寝不足?」

「う〜ん。」

「眠りが浅いんじゃない?なんだかしょっちゅう動いてたし、口ごもごもしてたし。」

「そうなのかな。」

ときわと光清の意見にも、曖昧な返事。