無事ラナーの部屋に戻った私は、スーツに着替えた。

ポケットには、携帯も入っているし。

一件落着だよ。


するとほっとしたせいか、私は急に眠くなり始めた。

「ふぁ~あ。」

大きな生欠伸をして、目も開いていられない。

「眠そうだな、クレハ。」

「う……ん……」

頭を叩いて、眠気を覚ます。

「無理をする事はない。昨日の夜から、ろくに寝ていないのであろう?」

ジャラールさんは、私の背中をそっと、撫でてくれた。

「でも!」

「でも?」

眠ってしまったら、元の世界に戻ってしまう。


光清とときわが言ってた。

もうこの世界には、来ない方がいいって。

元の世界に戻ったら、二度とこの世界に、来れないかもしれない。


そう思ったら、泣きそうになった。

ダメダメ。

泣いたら余計疲れて、眠ってしまう。


「クレハ。とにかく、部屋に戻ろう。」