死にそうなくらいに息が切れ、足がガクガクすること2回目。

「おっ、やっと追い付いたか。クレハ。」

私を待っていてくれたラナーに比べて、ジャラールさんはそのまま先を行く始末。

いいさいいさ。

一刻を争う事なんでしょ?

私を置いて行けばいいさ!


「今、ハーキムに聞いたのだが、ネシャートの周りは何一つ変わった事がないらしい。」

「えっ?ハーキムさん?なんでハーキムさんが、ネシャートさんの周りを知ってるの?」

ハーキムさんが、しれっとした顔でこっちを見る。

「ここの番人をしている奴らに聞いたのだ。」

「番人?」

「宮殿に出入りしている者の話も聞いているからな。」

それを聞いて、あっと勘づく。

「もしかしてハーキムさんを牢屋に入れたのは!」

「まあ、そういう事だ。」

裏情報を取る為に、側近を牢屋に入れるなんて、正気の沙汰じゃない。


「それだけじゃないでしょう。」