待って!

ハーキムさんは悪くない‼

私は、宝石なんて盗んでない!


ジャラールさん!!


「紅葉!しっかりしろ!」

強く揺らされて、目を開けた。

「光……清?」

「よかった〜どうなるかと思った。」

光清が後ろへ倒れ込む。

「本当にもう、心配したんだからね。」

その隣には、ときわもいる。

「ときわ……」

「ときわ〜じゃないよ!いくら起こしても起きないし。泣き叫び出すし!」


泣き叫ぶ?

私が?

ああ、思い出した。


持っていたペンダントが、探していた宝石だと、疑われて。

ハーキムさんはそんな私をかばって、ジャラールさんに殺されそうになったんだ。


私は体を横にして、顔を両手で覆った。

後から後から涙が溢れてくる。

「紅葉?」

ときわが心配して、私の顔を覗く。

「ごめん。何でもないの。」

そう答えた私に、光清が低い声で尋ねる。

「また夢の中で、あいつらと会ったんだろう?」