人だかりのできている、織人のクラス。



「すみません、通してください!!!」



あたしが色々言われるのはいいの。

慣れてる。



でも他の人はダメ。


やっとクラスに入れた。


織人は座ってて、滝田先輩が前で立って見下ろしてる。


ただならぬ雰囲気を醸し出しているけど、でも滝田先輩は色々感情を抑えた表情をしている。




「噂、信じたくねえけど、お前昼居なかっただろ。何してた」



声がいつもより大分低い。



「柊に会ってた。」



その言葉に野次馬がうるさくなる。滝田先輩は、拳を握りしめてる。

でも、今あたしが行ったら火に油だ。



「なんでお前が柊に?嫌ってたろ」



「嫌ってた。でもな」


ガンッ


滝田先輩が机を蹴った。


言い方が悪すぎるよ!!!織人!!!
誤解を招く!!!!



「なんの用件で柊に会ってた」


「アイツの従兄の服借りてたから、返した」


「なんで借りた」


「一昨日雨降ってたろ」


うん、これは埒が明かないね。



「滝田先輩!」



滝田先輩を呼ぶと、いつもの優しい滝田先輩の顔じゃなくて、見たことがない顔だった。


でも、悲しい顔もしてた。