目が覚めると、隣で豪が寝ていた。
あたしが体を起こすと、まだ制服で。
「ん?起きたか。風呂入ってこい」
豪も目を覚ましてそういった。
「うん。誰がここまで連れてきてくれたか、分かる?」
「織人」
あたしは目を見開いた。驚いた。
「そう」
あたしの様子に、ふっと笑った豪は体を起き上がらせた。
「本当に仲良くねえんだな?」
「え?」
「アイツが言ってた。今日俺、半日で出先から直帰だったから家に居たんだよ。雨降ってきたからお前のこと迎えに出ようとした時、死にそうな顔してお前背負ってる男が居てさ。」
死にそうな顔って。
「本当に驚いたんだろ。お前が死んだんじゃねえかって。顔真っ青にして、あいつも死にそうだったよ」
ケラケラ笑う豪は、失礼すぎる。
「そのあと、色々聞いて風呂入らせて飯食わせて帰した。部屋着貸したから、明日返しにお前んとこ来ると思う」
「そっか。」
「仲良くしろよ?」
「なんで?豪が男と仲良くしろなんて珍しい」
「アイツは気に入った。嫌いな奴をあそこまで心配してやれる奴、なかなかいねえよ」
ニコニコ嬉しそうな豪。
「なんか、お父さんみたい」
「は?そんな歳離れてねえよっ」