「なんでここまで」
「お前が本気であいつを心配してくれたからだ」
「え」
「学校に、そういうやつがいるって知れて良かったよ。あいつ、学校には慣れたけど、馴染めてはないって言ってたから。あ、仲悪いっつってたか」
ふっと笑う従兄。
「あの、名前教えてもらっても」
「御門豪、26、時雨の従兄。」
「あ、17です」
「ふっ、お前見た目によらず律儀だな?クールヅラしてっから、生意気そーに見えるけど違うな。俺もよく言われんだよ、生意気そうだって。そう、じゃなくて俺の場合生意気なんだけどな」
楽しそうに笑う豪さんは、どこか柊に似ている。
「時雨も、見た目で誤解されやすいんだろうな。上手くやれてねえってことは。16にはとても思えないほど、大人っぽい面して、スタイルもいいしなー。あと、人間関係も苦手だろうしな」
誤解、か。
「人間関係は大丈夫だと、思います。いつも居る友達もいるみたいですし、良い奴に好かれてますし。噂は絶えないですけど」
「……?お前は時雨のこと嫌いなんだろ?」
「今、豪さんの言った通り、誤解なのかもしれません。俺、女に対する偏見あるので」
「そーかー。そうすると時雨みたいな見た目の奴は、好かねえだろうなー。ま、気が向いたら仲良くしてやってくれよ。お前、良い奴そうだしな」