病院の近くのカフェに入り遅めのランチをした。

店内は昼どきほど混んでなくて
落ち着いていた。


『早瀬さんいつもカバンこんなに重いんですか?』

病院からここに来るまでキミのカバンを持った。

キミが倒れて、
救急車に乗るとき、
僕がキミのカバンを持っていたから
キミのカバンが異様に重たいことはすでに知っていた。


大きめサイズのPRADAのバッグに
中はおそらくノートパソコンと資料多数・・・


いくらPRADAのバッグが丈夫だからって
とても女子が持ち歩く重さじゃなかった。


『ごめんなさい!
あんな重たいカバンもってもらっちゃって』

申し訳なさそうにキミは言うけど、
謝ってほしいわけじゃないんだよ。


毎日こんな重たいカバン持ち歩いて、
毎晩遅くまで仕事して、
倒れて、
またすぐ仕事に戻ろうとして・・・

また倒れたらどうすんの?
バカなの?
学習しないの?

心のなかではキミに言いたいことが
次から次へとニコニコ動画のように流れていた。


でも言えない。

だって僕はそんなことキミに言える立場じゃないし、
キミだって僕にそんなこと言われる筋合いないって思うだろう。


なんだろう。
このイライラは。



僕は自分のひたいに手の甲を当てながら
自分の感情に整理をつけようとしてみたけど
結局うまく整理できなかった。