どうして泣くの?

次から次へ起こる目の前の出来事が、
想像の範囲をはるかに超えてくる。


僕は、焦ってばかりだ。


今キミに何が起こってるんだろう。

こんな非日常的なシチュエーション
自分が体験するなんて。

どうしたらいいか全然わからなくて、
ただただ、溢れて伝う涙を拭うことしかできなかった。



そのうち、ゆっくりキミの瞳が開いた。


一瞬、
ドキッとした。


だって僕はまだキミの手を握ったままだったし、
もう片方の手でキミの頬をハンカチでぬぐってた。

そんなことができたのはキミが眠っていたから。

キミの意識があったら恥ずかしくて絶対できない、こんなこと。


でも今キミは目を覚まし、意識を取り戻した。


キミの手を握ってることに
ものすごい焦りを感じてたけど、

手を離すことができなかった。


目を覚ましたキミをみて
内心はめちゃくちゃあせって、

背中とかガーッて熱くなった。

でも、そんな動揺を隠して、
僕はキミの瞳を見つめて声をかけた。

『大丈夫ですか?』


キミは無言のまま、
まだ涙で潤んだ瞳で僕を見ていた。


僕とキミはお互いをじっと見つめている。


キミとずっと目があってる・・・



めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど。

何か言ってほしいんだけど。



僕の背中はずっと熱いままで、
キミの手を握ってる手も緊張で熱くなってくる。

でも今は目を反らしちゃいけない場面のような気がして、僕はキミの目をみつめながら、
この緊張感に耐え続けた。