『ん・・・ぅー・・・』

小さな声とキミの苦しそうな歪んだかお。

『早瀬さん? え? 大丈夫?』


僕の声は届いていないようで、
きみはうなされながら、自分の手でこめかみあたりの髪の毛を根本から思いっきり引っ張るんだ。

『ちょっ!まっ! 早瀬さん!』

僕は思わず、髪を引っ張るキミの手を握って、
ゆっくり、キミの指先をほどきながら、髪から手を離した。

そのままキミの手を握って、
もう片方の手で引っ張られていたきみのこめかみあたりの髪を撫でた。

キミは僕の手を少しだけ強く握り返してくれた。
でも、
うなされるように呼吸も粗くて、眉間に力が入ったような苦しそうな顔をしていた。

僕はキミのあたまを撫でながら、
キミの苦しそうな顔を見つめていた。