「ずっと隣で寝ていた、咲の温もりが消えてーー今は、近い筈の距離が、やけに遠い。


俺は、咲の兄で居たいのか、なんなのか分からない………願いを言うなら普通の男で居たい」


少しだけーーー分かるんだ。

星の不安な気持ちも……


それは昔の俺に、似ていたからーーー。



"俺は、えみの兄でいるのは嫌だ‼
俺だけを見ろよ‼"ーーー。



気持ちをえみに押し付けて泣かせた時もあった。


"えみが他の奴を好きなのは、嫌だ‼
どうしても、兄じゃなきゃダメなのか?"ーー



兄でいることが、嫌だった。


お兄ちゃんだからーーー


お兄ちゃんはいいねーーー


違う、俺はーーー。


"貴方達は、本当の兄妹じゃない"ーーー。



そう言われた時………気にしていた血の繋がりも、消えたんだ。