「咲!!」


刻じゃない。

爽くんが、足を引きずりながら現れた姿に、泣きそうになった。



「爽くんっ」


君に抱き締められ更に、加速する涙。


「大丈夫か?
刻に……なんか……「さ、されてないよ」

むしろ、お兄ちゃんにキスされたなんて言えない。


告白されたなんて言えない。


私は、平静を装い笑顔を作った。

お兄ちゃんが見ていた気がしたけど、知らない振りをした。