笑満には、夜々さんから聞いた症状の話を、全部した。


笑満と頼は同じ幼馴染、親友だけど、位置は全然違った。


笑満は、私だった。


話を聞いた笑満は、固い表情で唇を引き結んでいた。


そして、私に抱き付いて言った。


「心配しなくていいよ。あたしが咲桜の分まで、たくさん赤ちゃん産むから! だから、咲桜にも子育て手伝ってもらわないといけないくらい、たーっくさん! 産んじゃうから!」
 

まだ、永い片想いを遙音先輩にしていた頃の笑満の言葉だ。


このとき私は、笑満の傍らには遙音先輩を想像しながら、笑満の断言に微笑むことが出来た。
 

大丈夫。私は、こんな病気があっても大丈夫なくらい、強い人たちに囲まれている。


赤ちゃんを産む、産まないは、女性だけの判断ではない。


夫婦のものだ。


巡り合って愛し合った二人の決断。


他の人が立ち入るべきではない、神聖ですらある領域。


……だって、子供は絶対に授かれるものではないし、赤ちゃんを産むことは命がけだ。


お産で儚くなる母親だっている。


命をかけて、女性は子供を産むのだ。


それを、支えてくれる家族の存在もあって。