「ああいう組織だったものは向いていないんです。無所属(フリー)で動いている方がやりやすい。ですので、別に警察に関わる方面で報酬だのは発生させていません。学校に危害が及ぶ真似もしていません。――ですが、問題になるかもしれないことは承知しています。職を辞せというのなら、すぐにでも書きます」
 

教師連中は驚いているが、俺は本気で言っている。


咲桜のことがあったときもそうだけど、もう遙音をここに一人にしても大丈夫そうだから、俺が教職に執着する理由はもうない。


……人畜無害そうに見えていた『神宮先生』は、こんな人だったのか、とでも言いたいのか、抜けた顔をする奴もいる。
 

俺への問いは、校長に丸投げされた雰囲気になる。


「……今年度いっぱいで辞められることは、間違いないんですね?」


「はい」
 

今年度まで、と、上司には早々に届けてある。


「神宮先生、桜宮学園からも誘いがありましたよね? それも関係しているんですか?」


「誘いをかけてきた蒼――元Pクラス生の神林蒼教諭は、学生時代の知り合いです。その頃から俺がやっていることは知っています。ですが、元から桜学に行くつもりはありません」


「あの神林先生ですか。……知った上で、教師として、ですか」


「苦労性ですから、蒼は」
 

蒼の性格を一言で片づけた。
 

校長は額を抑えた。