「はい。俺が生まれてすぐの事件です。ネットででも調べればすぐに出て来ますよ。俺も故意に隠したりはしていません」


「……その、何と言ったら………」


「何とも仰らなくて結構です。今になっては特に思うことないですから」
 

淡々と答えると、上司連中は本気で返す言葉がない。
 

特に思うことがない辺りが、俺の壊れ具合なのだろうけど。


「あれ? 今『神宮さん』て言いました? 朝間先生、知ってるんですか?」


「ええ。知ってるも何も、神宮さんは、私の幼馴染である人の、後継者の一人ですから」


「後継者の、ひとり?」


「はい。雲居くんと春芽くんと、三人、当代最高峰の刑事と謳われる方の、です」
 

朝間先生に追加説明されて、校長が唸った。


「……なんでそんな人が警察官にならなかったのですか?」