「大体さあ、学校でも何人かにはばれてんでしょ? 性悪の方も。遙音もいるし。いい加減諦めなよ」


「……あいつまで巻き込むなよ」


「失敬。訂正するよ」
 

吹雪がわざとらしく肩をすくめる。俺はため息を吐いた。


「――吹雪、降渡。もう出ていけ」
 

冷えた音に、教師生徒、びくりとした。


まさか神宮先生がこんな声を出すなんて――、という顔をしている。


どうやら上手いこと化けられてはいたみたいだな。


「こちらまで巻き込んで申し訳ありませんでした。あとは自分の方で処理致しますので、もうご迷惑はおかけしません」
 

さっさと頭を下げると、降渡と吹雪の首根っこと腕を摑んで応接室を出た。
 

廊下で必死に中を覗こうとしていた生徒たちは、出てきた俺にびっくりしたように、道を開けた。