-学校-



「…さ!梨紗ってば!!」

「…あ、悠里ちゃん。」

「あ、悠里ちゃん。じゃないよ!
またぼーっとして。夏樹くんの事でも
考えてたの?」


「……また夏樹の夢見たんだ。」

「そっか…あれからもう5年になるね。」


小学校からの友達の佐久間悠里ちゃん。
優しくて綺麗で、頼りになる
お姉ちゃんみたいな存在。
私が夏樹のことを好きだったのも知ってる。



私は夏樹に自分の想いを伝えないまま
離ればなれになってしまったことを
ずっと後悔していた。
今でも何度も夏樹の夢を見る。
起きて鏡を見るといつも涙が溢れている。

夏樹…会いたいよ。






「鈴原ー!」

「あ、翔ちゃん。」

「あのさ、鈴原がこの前観たいって
言ってた映画なんだけど…」

「『君が好きでした!』」

「そうそれ!あの…さ、もしよかったら…」

「なになにー?『君好き』??
あれ私も観たかったんだよねー♪」

「……佐久間!!」

クラスメイトの坂城翔くん。
かっこよくてスポーツ万能。
明るくてみんなの人気者で「翔ちゃん」
って呼ばれてる。


「なによー。あっ!そっか!
翔ちゃんもしかして梨紗とふた」

「あーー!!な、何でもねーよ!
あの映画面白いって聞いたから鈴原に
教えてやろーと」

「はいはい。ニヤ」

「観たい!!3人で観に行こうよ♪」

「え??いいのか鈴原?///」

「今度の日曜日とかどう?」

「や、俺はいつでも…///」

「じゃあ決まり!今度の日曜日ね♪」

「お、おう!日曜日な!」

「あれーー?翔ちゃんなんか
顔赤くなってない??ニヤ」


「うるせーな!暑いんだよ!///」


「坂城ー!先輩が呼んでるー!」

「…!おう!今行くー!
じ、じゃあ今度の日曜日な!」

「今度の日曜日10時に白川駅集合ね~」