「じゃあな、梨紗。」

「待って夏樹!さよならなんて嫌だよ!」


「さよなら。」

「嫌だ!!夏樹!なつきー!!!」



-ガバッ-



「…また夏樹の夢…」


また夏樹の夢を見た。
夏樹が「さよなら。」と言って遠くへ
消えていってしまう夢。

家が隣で小さい頃からずっと一緒だった
幼なじみの西野夏樹。
私は夏樹のことが好きだった。
でもいつも素直になれなくてケンカして
ばっかりだった。

そんな夏樹が小学校6年生の夏、
お父さんの仕事の転勤で引っ越して
遠くへ行ってしまった。
夏樹に好きだと伝えられないまま…

あれから5年目の夏。
私、鈴原梨紗は高校2年生になり
この夏17歳の誕生日を迎える。