「そなた、名は何と申す?」

「美桜」

「幾つになる?」

「16」

幾つか質問されたが、何処から来たのかさえも答えられない。

説明しても恐らく理解してはもらえないと思った。

ただ、俯いて十字架をみつめた。

「名と年以外は解らぬと申すか。難儀だな」

少年は笑みを崩さず、こちらを見つめ額に手を当てた。

「若様。娘のことはあたい達で面倒を看ます。若様には計画を進めてくだされ」

若様と呼ばれた少年の顔をじっと見ていると「早くお食べ。片付けを手伝ってもらうよ」と、催促された。

若様の他に同じ年くらいの者は少ない。

若様は辺りの者たちに比べても一際、聡明そうに見える。

間違ってもモンペなど着ないだろうと思った。