「どう? 綺麗でしょう? お友達の証に差し上げるわ」

「ピンクダイヤモンド、ね。結構だわ」

「え?」

 箱の中身を得意げに掲げ彼女は子供の如く無邪気に笑む。そこに悪意などないのに、軽んじられている気がしてならなかった。

「私が、そんなもので靡くとお思い? 随分と軽視されていることが分かってよかったわ」

「そんなつもりはありませんわ!」

「分かっているわよ。でもね、だからこそ腹が立つの。特別を金銭の価値と同等だと思っている輩にね」

 私はこんな顔で呆けていたのか。随分と無知だった自分に腹が立つ。自らを叱咤出来るならしてやりたい気分だ。

「私はエレアノーラ様が喜ぶと思って……」

「失礼ながら申し上げます」

 肩より上で揃えた茶髪を揺らし、此方を睨み付けていたメイドがカタリーナ様を庇うように身体を前に出す。挑戦的な態度に頬を吊り上げれば、彼女は更に顔を顰めていた。