『待って、母さん。色々整理させて。』

俺の申し出に、分かったと頷く母さん。


そうだ、思いだした。


その瞬間、頭から熱が引いていく。

あたまが冷たくて、重くて。まるで世界に俺だけ1人取り残されたような感覚に陥る。

そうだった。あれは、確か、七夕の夜。

新しくできた彼女の、緋鞠とデートに行ったんだ。

歩いていたら、トラックが俺達の方へ突っ込んできて。

ああ。そうか。俺が毎年、見ていた女の子は君だったんだね、緋鞠。

気がつくのが遅くなってごめん。