──天女が来てから男の毎日はすっかり変わり、天女をとても大切にしました。
天女も思いがけないことになってしまったと思いながらも、男の優しさに触れ、いつのまにか彼を愛しいと思うようになります。
それでも彼女は時々ふ、と寂しそうな表情になったし、男にもそれがどんな意味なのかわかっていました。
だけれど、もう少しだけ、という思いが消えずに、男は羽衣のことが言い出せません。
もう少しだけ、もうちょっとだけ、そばにいたい。
しかしある日、家の掃除をしていた天女が、見たこともない箱を見つけます。
それを開けると、中には自分が探し求めていた天の羽衣が入っていました。