なぜこんなことになってしまったのか私は未だに理解不能だ。



「はぁ………」



私は大きなため息をついて、校門をくぐった。




男の子のような短髪に男の子と同じ制服。



誰もが私のことを…いや、僕のことを男と思っているだろう。






「ねぇ、あの人めっちゃかっこよくない?」


「え〜ほんとだァ〜やばい〜同じクラスかな?」





一部の女の子は完全に私に狙いを定めているようだった。



完全に男と思われてたなんだか複雑な気分だ。まぁ、逆に女とバレても困るのだけど、




私は靴箱に靴をそっと押し込めて、クラス表を見に行った。



「げっっ………何この人の数…マジありえない…」


正直人混みは好まない。うるさいし…



なかなかクラス表が見れず、後ろでうろうろとしていると、その瞬間誰かが私の手を握り前の方へ突き進んでいった。




「ごめんごめん!!通るよ!」


少しトゲトゲした髪型で綺麗な茶色い髪。耳にはピアス。


あれ、やんちゃな人なのかな…




「きゃー!!倉橋くん!!!」


「倉橋くんこっち向いてー!!」




この人はどうやら有名人らしい。この人が入ってきた瞬間にこの女子達の騒ぎ様だ。




相変わらず倉橋くんとやらの顔は見えず、やっと一番前にたどり着くと倉橋くん私の手を離して、「大丈夫?これで見えたでしょ?」



そう言って私に笑顔を向けた。





かわいい………


咄嗟に思ってしまったが、いやいやいや!!
一応今は男!男に可愛いなんてもっての外である。




私は自分のクラスを確認すると目も合わせず、お辞儀だけしてクラスまで走った。