顔を赤らめて金剛を睨む瑠璃に、構わず金剛は話しかける。


「その眼なんだ、イメージにぴったりだ。」

「え?」

「貴方に送りたいものがある。きっと似合うと思う。」

「結構です。」

「冷たいな。」

「王子とはいえ、これ以上のお戯れは神殿に対する侮辱とも受け取られます。どうぞ、お引取り下さい。」

「侮辱?そんなつもりはない。」

「巫女を普通の女と同じようにお考えの時点で侮辱です!…王子ともあろうお方が巫女を口説くような真似をするなんて!」


瑠璃は怒りのあまり声を荒げ、金剛から距離をとった。

金剛は退かない。
なだめるように近寄る。


「怒らせるつもりはなかったんだ、すまない。」

「…お引取りを。」

「また会ってもらえるだろうか?」

「お引取りにならないならわたくしの方から失礼させて頂きます。迎えの者を来させるよう、申し付けて参りますので。」


瑠璃がそう強く言い放ち、去ろうとした時、物陰から翠玉が飛び出してきた。