「ん。でも、会社では瀬名でいいよ。
同じ部署で同じ名前じゃ、間違え易いし、
下の名前で呼んだら、悠貴さんの機嫌が
悪くなりそうだし?」

私がそう言って、悠貴さんをチラッと見ると、

「当たり前だろ?
暁里の名前を呼んでいいのは、俺だけだ。」

と悠貴さんは言った。

「ね?
だから、やっぱり、瀬名のままでいいよ。」

私は笑った。

「ま、そのうち、田中さんも増えるかも
しれないし、私が先に道しるべを作って
おいてあげるよ。」

私が含みを持たせて言うと、田中君は慌てて振り返って百合ちゃんを見た。

すると、百合ちゃんは、首をブンブンと横にふる。

うろたえている田中君に、

「ま、報告は連休明けでいいから。」

と言うと、

「お前は上司か!!」

と言って頭をコツンと小突かれた。