すると、田中君が反撃に出た。

「そもそも、部長は瀬名をベタ褒めだけど、
瀬名が部長を褒めてる所は聞いた事ないぞ。
お前は、どう思ってるんだよ。」

「え?
それは…
いいじゃない、別に。
悠貴さんは、それでいいって言ってくれる
もん。」

「くくっ
うんうん。暁里、顔赤いよ。
大丈夫。暁里の気持ちはちゃんと分かってる
から。」

悠貴さんは、私の頭をぽんぽんと撫でてくれる。

「部長がそうやって瀬名を甘やかすから、
瀬名がつけ上がるんですよ。」

「田中、暁里を甘やかすのは、俺の特権だぞ。
文句があるなら、お前も誰かを思いっきり
甘やかしてみろよ。」

悠貴さんはにやりと笑った。

「連休明けには、外注の下請けから、出向で
何人かのSEを受け入れる。
新人と違って、仕事も人格も太鼓判を
押された奴が入って来るから、のんびり
してると、暁里と同じようにあっという間に
掻っ攫われるぞ。」