「ねぇ、ゲームしてよ」


そう声をかけられてあたしは教科書から顔を上げてしまったのだ。


あたしの机の前に立っていたのは川合紗菜(カワイ サナ)だった。


紗菜はクラス内では少し派手な方で、ムードメーカー的な存在の子だ。


あたしは紗菜の目を直視することができなかった。


「え……?」


か細い声で短く聞き返す事が精いっぱいだった。


「ゲームだよ、ゲーム」


紗菜はそう言ってスカートからスマホを取り出し、あたしに見えるように画面を突き出した。


その画面にはすでにゲームの画面が表示されている。