あと少し。


あと少し我慢すればこの子を救うことができる。


そう考えて、男子生徒から視線を離さなかった。


こんなのただの自己満足だ。


この子を美奈に見立てて救おうとしているだけだ。


そんなの自分自身が一番よく理解していた。


今までのあたしなら、受験に不要なことはすべて見て見ぬふりをしてきた。


友達の悪態も、ため息も、心のどこかで引っかかっていたのに勉強を理由に無視していたんだ。