踏み込むべきじゃないとわかっていたのに、黙って見過ごすことができなかった。


「誰、あんた」


男子生徒のネクタイの色は1年生だ。


あたしはスッと息を飲んで「やめなよ」と、言った。


「邪魔すんなよ。こいつだって別に嫌がってるわけじゃないんだから」


「た、助けて!」


女子生徒が悲鳴に近い声を上げる。


あたしは緊張から喉の奥が狭まるのを感じた。


「俺のこと好きだって言えよ」


男子生徒が女子生徒へ向けてそう言うと、女子生徒の表情が歪んだ。