最近の勉強の効率の悪さは、ここに入学してから1番と言えた。


口の中で英単語を呟いていた時、不意に自分以外の声が聞こえてきてあたしは顔を上げた。


体育館裏に人気はなく、湿った空気が流れているだけだ。


気のせい?


そう思って再び単語帳へ視線を戻した時だった。


確かに、男子生徒の声が聞こえてきてあたしは周囲に視線を巡らせた。


視界に入って来たのは古い道具入れだった。


今では使われていない木製の小屋は、そろそろ取り壊される予定だったはずだ。


そこへ近づいてみると、今度はもっとはっきりとした声が聞こえて来た。


「脱げよ」


そう聞こえてあたしは足を止めていた。