あたしは1日その相手の奴隷にならなければならないのだ。


答えなんて見つからなくて、あたしは体育館の壁にもたれかかった。


年中日当たりが悪い体育館裏は、今の時期余計にジメジメとした空気が流れている。


足元に生えているコケを無意味に靴の裏で踏みつけて行く。


しばらくそのままでいると、ホームルーム開始のチャイムが聞こえ始めた。


けれど教室へ戻る気はなかった。


ホームルームなんて出席してもしなくても同じだ。


遅刻扱いになることは少し痛いけれど、颯樹のあんな顔見たくなかった。


あたしはため息を吐き出して単語帳を取り出した。


少しでも記憶しておかないと、本当に大学受験に支障が出てしまう。