そうしていると自然とサッカー部のみんなから声をかけてもらえることが多くなり始め、颯樹との接点もできてきたのだ。


今では普通に会話できるまで成長した。


あの時必死に勉強した甲斐もあり、2年生に上がってからは颯樹と同じA組に入る事ができた。


颯樹との出会いを思い出しながら、足は自然と体育館裏へと向かっていた。


学校裏や体育館裏なら誰もいないから気持ちを落ち着かせることができる。


歩いている間に吐き気も治まって来て、歩調は緩やかになっていた。


教室内で見た颯樹と、出合った時の颯樹はまるで別人だ。


思い出すと胸の奥がひどく傷んだ。


あたしが好きになった颯樹はもうどこにもいないんだろうか。


そう考え、スマホを取り出す。


強制的にダウンロードされていた《絶対命令アプリ》は、どう頑張っても消す事が出来なかった。