あたしが考えていた現実と、本物の現実は少し違っていたようで、それならと思い勇気を出して颯樹に近づいたんだ。


最初はグラウンドの見える図書室の窓際に座り、サッカー部の練習を観察することから始まった。


人に近づくためには、相手が興味を抱いているものを自分も知るべきだと考えたからだった。


サッカーのルールは知っていたけれど、見ている内にどんどん詳しくなっていく。


詳しくなればなるほどサッカーの楽しさを知り、見ていることがもっと楽しくなってくる。


あたしが図書室での勉強を終えて表に出てきてもまだサッカー部の練習は続いていた。


あたしはグラウンドの見える位置に腰掛けて、練習を眺めることが多くなった。