俺は、今、倉持拓晃ことヒロと一緒にいてる。

実は、俺とヒロは、恋人同士なのだ。

男同士でおかしい。

そう思う者もいるかもしれない。

でも、それでも、俺は、ヒロが大好きなのだ。

「蔵之介さん。早く二人っきりになりたかった。」

「…俺も……。」

そう言ってくれたヒロが、その逞しい胸に抱き締めてくれた。

うっとりする俺。

「何で、リュウは、ヒロにあんなに対抗心いっぱいなんだろう?」

突然、脈絡もないことを口にした俺に、ヒロは、

「初めて会った時から、立石のヤツ、あんなだったよ。」

「そうかぁ。」

「蔵之介さんって、こういう雰囲気の時も、立石のことを考えてるんだね。ちょっと妬けちゃうな。」

「あっ、ヒロ。だって、リュウは俺の大切な弟だもの。ごめん……。」

「もういいよ。じゃあ、今日は、蔵之介さんのほうから、キスしてくれたら許すよ。」

「えっ?」

俺は、ヒロのその言葉に、小娘みたいに頬を赤く染めてしまった。

「冗談だよ。蔵之介さん。」

「ヒロ。」

そうお互いの名前を呼び合うと、俺とヒロは、キスをした。

でも、まさか、その場面をリュウに見られているなんて、俺は思いもしなかったのだった。