「えっ?アニキ、いないの?」

「うん。」

アニキのクラスメイトらしき女子生徒は、すまなさそうに俺に返事をした。

どうしたんだろう、アニキ?

こんなこと、一度だってなかったのに……。

「龍之介。立石先輩、いないのか?」

俺は、なぜか、不安になり、

「アニキ、探しに行って来る。」

「おい、龍之介。」

「龍。」

英樹と亮太の呼び止める声に、耳を貸さず、俺は、駆け出した。