「優羽っ…! どこに居たんだ!? 連れ去られていたのか!? それとも神隠しに遭っていたのか!?」
教室に戻った私を真っ先に出迎えたのは真琴だった。
物凄いスピードで駆け寄ってくるなり、鬼のような形相で私の身を案じてくる。
「……全部違うから、真琴」
「なら何だ!? 何が起きたんだ!? 私は優羽が戻らないから一人でご飯を食べて、ばっちり五限の授業を受けたんだぞ!」
「ばっちり…?」
なんだそれは。私が居ないことに心配はしていたけど、何の問題もないような言い方だ。事実なんだろうけど。
「えっと、ごめんね?…ちょっと、トラブルに巻き込まれて」
「トラブルだと!? 優羽、トラブっていたのか!? 何故私を呼ばなかったんだ! というかどこの野郎とだ!? そいつを成敗してやろうっ!」
「ちょっ、大したことじゃないから平気! だから落ち着きなさい!」
「落ち着けるか! 優羽の身に何かあったら私は…私はっ…、」
そう言うなり、真琴は膝から崩れ落ちて「シクシク」と泣き真似をし始めた。
私は真琴の前にしゃがみ込み、彼女の肩にそっと手を乗せた。