「れ、れ、れれ連絡先!? それって、文明の利器を使ったメールとか電話とかメッセージの…」
予想だにしなかった事が起きて軽くパニックになっている私を見て、西園寺は肩を揺らしながら笑い出した。
「はは、並木さん面白いね。そうだよ。ご迷惑でなければ、の話だけれど」
どうかな?と西園寺は首を傾げた。
私は心の中でガッツポーズをしながら、ウルトラキュートな笑みを浮かべた。
どういう風の吹きまわしなのか分からないけど、ラッキーなことじゃないか。
学園王子の連絡先をゲットできるだなんて。
「もちろん!」
私はブレザーの内側に入れていたスマホを取り出し、ハイテクなチャットアプリを開いた。
そして、連絡先を交換することが出来る画面を開き、西園寺の前にそっと差し出す。
西園寺はその上に自分のスマホを数秒間翳すと、満足そうに微笑んだ。
「…うん、登録したよ。ありがとう」
「こちらこそ…!」
なにゆえ私の連絡先を訊いてきたのかは不明なままだが、良しとしよう。
「それじゃあ、またね」
扉を開け、校舎内へと戻った西園寺の後に続き、私も教室へと戻った。