「…ああ、あの時か。ごめんね、並木さん関係ないのに巻き込んで」


うん、本当に迷惑極まりなかったよ。

なんて思ってはいても、顔にも口にも出さないけど。


「気にしないで、私は大丈夫だから。…あれって、告白された後…だよね?」


「そうだね」


西園寺はさらりとそう答えると、立ち上がるなり大きく伸びをした。

やっぱりイケメンは何をやっても様になる。それは美女でも同じことなんだろうけど。

今度私もやってみようかな。

ちょっとブラウスの胸元をはだけさせながらやったらイチコロじゃない?

即野獣と化して襲うこと間違いなし!


「どうして高橋さんを振…」


意を決してそう尋ねた時、五限の終了を告げるチャイムが鳴り響いた。

なんてタイミングだ。距離をセンチ単位まで縮める絶好のチャンスだったのに。


「…五限、終わったね。さすがに二時間もサボるのはまずいから、戻ろうか」


「う、うん、そうだね…!」


くそぅ、チャイムめ。防犯カメラで監視でもしながら鳴らしてるのか。
自動だって知ってるけどそうとしか思えない。