私の人生は一言で表すなら『絶望』だと思う。

自分の家の前で足を止め、ゆっくりと見上げる。
フッと息を吐いてから、一歩を踏み出す。

……ガチャッ…

「ただいま…」

「………」

トントントン…

母親が、料理をしている音がする。
一定のリズムで、少しの乱れもなく。

カチャン…

私がリビングに入ってようやく気づいたように、母親はハッとしたように私を見た。

「…あ…おかえり」

「うん、ただいま」

それだけ言って、私は自分の部屋へ向かう。