「あ。」

涙が落ち着いて話せるようになって思い出した。


「まだ、何か…?」

「記念日。電話で『2人の記念日は空けてある』って。」


もう、疑いの気持ちはなくなったけど聞いておきたかった。

「あれは、母さんと父さんの結婚記念日のこと。」


ほっとしてまた涙が出てきた。

「よく泣くよなー。」


なんて小さく笑いながらそっと涙を拭ってくれた。

「ずっとね、遊ばれてるんだと思ってた。」

ぽろぽろと口からコトバが零れていく。


「逢ったその日にコクったから
 軽い女って思われたんだって。」

「……。」

「優しいコトバをもらっても、 
 大事にされても、全部ホンモノじゃないって思ってた。」


「それ、ちょっとヒドくね?
 いつも本気だったんにさ。」

「…ごめん。でも、カオリさんが気になって……。」


ポンッとあたしの頭に手を載せると優しく言った。

「本気で好きだから。
 軽い女なんて思ってないから。」

「…あたしも。あたしも、奏が大好きだから…!!
 もう別れるなんて言わないから!」


「言わせるかっての!」

ギュウッと抱きしめ、優しいキス。


今なら、これがホンモノって分かる。

疑ってごめんね?