「なんで、“カオリ”が本命って思ったわけ?」


奏、怒ってる…?

「結月?なんで?」

「だって、電話で…」

そう、電話。
あれはお母さんとは思えないよ。


「電話で、『カオリちゃん』って…。」

「…はぁ、聞いてた?」

コクンと頷くと奏が
『言うしかないか。』
って呟いた。


何を言われるの?

怖いよ。


『最初から、遊び。』

『カオリが本命。』

『こんな重いヤツって思わなかった。』

『だませると思ったのに…。』


そんなコトバばかり頭に浮かぶ。

なのに、

「マザコンとか言うなよ?」

聞こえたコトバはあまりにも予想と違った。

「…へ?」

「言うなよ?」

「うん。」


念を押され思わず頷いた。