「ああ。すごいな、ほんと器用だな、咲桜」


「盛り付けだけは料理で慣れてるから。ナイフ借りるね?」


「持ってくる。危ないから座ってろ」


「床に包丁突き立てる人に任せる方が危ないよ」


「……」
 

そう言うと、流夜くんは二秒固まった。それからゆっくり口を開いた。


「……わかった。料理、出来るようになる」


「………流夜くんが?」


「咲桜が教えてくれないか?」


「え――と。……流夜くんに教えるの?」


「咲桜が嫌じゃなければ」


「………」
 

答えないでいると、流夜くんが覗き込むように見て来た。


「……もしかして嫌な方だったか?」