「生物くん…どこ…っ!!!!!」

浴衣なんか着てるせいで走りづらい。

下駄なんて、だから履きたくなかったのに!

見失ったら。

きっともう。

会えない気がした。

なんでって言われたらなんでか分からないけれど。

お別れだよって。

そんな目をしてた気がした。

「嫌だよ、生物くんっ!!!!!」

行かないで。

行かないでよ、生物くん。

やっと。

会えたのに。

やっと。

あなたを見つけたのに。




「うわっ!」

曲がり角を曲がると、角から出てきた人とぶつかった。

「いっ…たたた…」

「ごめんなさい、大丈夫だった?」

「大丈夫だよ、ごめんね、前を見てなかったから。」

「そんなに慌てて、どこに行くの?」

「いや、別に…。えっ。中杉くん?!」

「?うん、中杉だよ?」

「ちょうどいい所にいた!吉沢くん、吉沢くんは?!」

「え、顕季?顕季なら…帰っちゃった」

「えっ?」

「なんか…体調悪い?みたいでさ。」

「そ…っか…」

「ん?顕季に用事だった?」

「吉沢くんが、私が探してた人だったから。」

「……そっか。ねぇ、今時間ある?千夏ちゃんが知りたいこと。」

「へ?」

「君なら。顕季を変えられるかもしれない。顕季が生物くんになった理由、教えてあげる。」