だから私はハルに隠し事はできない。

「大丈夫だよ、千夏」

あぁ。

やっとの思いで止めてたのに。

ハルが優しい言葉なんて柄でもないのにかけてくるから。

泣けてしまう。



…生物くん…。

「せ…生物くんが…」

「……ちょいまち。生物くんってだれ?」

…そっか、生物くんのこと、ハルには言ってなかったんだ。

それからハルに今までのこと全て、話した。

生物くんに話を聞いてもらってたこと。

生物くんと生物室の前でご飯を食べたこと。

生物くんと連絡先を交換したこと。

生物くんに勉強を教えてもらったこと。

生物くんに…今、会いたいこと。




「…千夏はさ、その生物くん?のこと、好きなんだね」

「……は?今の話、聞いてた?私、好きなんて一言でも言った?」

「言わなくても物語ってるじゃん。その、今聞いた話では」

「どこが」

「全部。生物くんに突き放されて辛いんでしょ?生物くんにウザイって言われて辛いんでしょ?生物くんに今、会いたいんでしょ?」

「それは、友達を失うってやつで…」

「はぁ。まあいいや。とにかくあれだね、なんでいきなりなのかってことだよね。」

「そうなんだよね…。昨日、電話した時には普通だったんだけどなぁ。」

「…とりあえず明日、また生物室に行ってみな。もしかしたら、居るかもよ。」

「うん。わかった。そうする。」

ハルに話したらなんだかスッキリした気がした。

まだ生物くんに対してのモヤモヤはあるけど、一人で考えてるよりずっとマシだ。

明日、生物くんに会えますように。