「…千夏?大丈夫?」

「…ん…」

「…千夏!!!!!カバン持って!今すぐ!!!!!!」

「へ?ハル?……ぇ、ちょ、待って!」

いきなりハルが私の腕をつかみ走り出す。

私はともかくハルは1度も学校を休んだことがない。

遅刻もしたことない。

私との約束の時間には遅刻するけど。

そんなハルが。

私が落ち込んでいるのがわかったんだろう。

学校を飛び出して私を助けてくれようとしている。

「…ハル…」




行き着いた先はいつも待ち合わせしている猫があしらわれた可愛いカフェ。

「んで?あんたは何にそんなに落ち込んでるのさ」

「いや…別に…」

「言ってみ?楽に、なるかもよ。私じゃ何の役にも立たないかもしれない。けど、話聞くくらいなら、できるから。」

ハルはいつも面倒くさがって人の話を真剣に聞かないし、基本的に自分以外興味が無い。人の心の痛みには鈍感だし、私が言いたいことも全然組みとってくれないし、話したことの3分の1しか覚えてない。

けど、そんなハルだけど。

本当に困ってる時、本当に辛い時、本当に苦しい時はこうやっていつも手を差し伸べてくれる。